介護は介護をする側の負担が注目されがちですが、高齢者側が抱える負担についても目を向ける必要があります。特に介護の仕事につく場合、高齢者が介護を受ける際にどんな気持ちになっているのかを考えることで、より相手の気持ちに沿った介護を行えるようになるのです。いわゆる尊厳を守るという考えが重要なのです。排泄を手伝ってもらったり、食事を食べさせてもらったりと、今まで自分ができていたことができなくなることで人はどんどん傷ついていきます。それがストレスに繋がり介護士に対して強く当たってしまったり、認知症を加速させてしまう要因になりかねないのです。
そのため、介護士が高齢者の尊厳を守るというのは、高齢者が健康的な毎日を過ごせるようにするための第一歩でもあるのです。また、過去の習慣を取り戻すことで尊厳を取り戻すことに繋がることもあります。例えば、食後にリラックスタイムを設けたり、旧友や家族に自分から会いに行ったりと、過去の自分が行ってきた行動をなぞることで徐々に活力を取り戻していくのです。もちろん、身体の状態によっては困難なこともあるかもしれませんが、尊厳を大切にするのであれば重要な要素でしょう。女性の場合、身だしなみを整えて気分をリフレッシュする方法もあります。高齢者になると若い頃と同じようにメイクしている人は少なく、少し髪の毛を整えたりメイクを施すだけで気持ちが若返ることもあります。気分が晴れれば、自発的な行動も増え、徐々に元気を取り戻すこともあるのです。